目玉はカンペキこの間の皆既日食っす。
なんて言いながら、最初はまったくピンときていなかった。友達がこのイベントの為に、1ヶ月以上前からお金を払って予約したワイナリーのキャンプサイトに入り、翌日の皆既日食に備える、なんて話をしていた時も、「へー、ご苦労なこって」なんて他人事だった。
全く事の大きさを認識していなかった。
最後にアメリカから皆既日食を観れたのは1979年、そして次は2024年だとか。
今回のOregon州から始まり、アメリカを横断していくという道筋は非常にまれで、今年の2017年の後、再びOregon州を通るのは2169年なんて言われている。
つまり、Oregonに住み続けている限り、Eclipse chaserでない限り、今回のTotal Eclipseは 私にとって一生に一度の体験となるわけ。
そういうFactを知るとだんだん興味が湧いてきた。
Oregon州でも完璧な皆既日食が観れるのは、Portlandから近いところではSalemという市。車で約1時間ほどの距離。
アタシも仕事してないわけだし、ちょろっと行ってみるべか、なんてノリで友達に話したら、「あなた、車、かなり渋滞になるみたいだから、充分に予定を立てて出発した方がいいわよ」と 言われた。
つまり この皆既日食に合わせて何千人もの人々がこぞってやってきて大渋滞を巻き起こす、という予測がたてられていたわけ。
なるほど、だから前日から現地に入るという体制なのね。午前10時ころから始まる皆既日食に合わせて、朝8時頃に出発すればいいか、なんて思ってたけど、大渋滞にはまるとしたら1時間なんかで到着できるわけもなく、車の中で その貴重な瞬間を見逃す、というハメになりそうではないか。
だからと言って、100ドル、150ドル払って前日からキャンプをするのもちょっと、、、。
という事で「ま、いっか。Portlandから見るだけでも充分でしょ」と、プッシュするを止めた。
そうしたら、皆既日食の2週間前、Mr. Hubbyに仕事の依頼が入った。Sprayという町で 皆既日食を観るために集まる子供達を、ある子供番組の為に撮影する、という仕事だった。思いがけずMr. Hubbyが「Do you wanna come with me?」と聞いてきた。「OoooH! I would love to!!!!」
Crewは皆知っているメンバーだったので、私も一緒に付いて行く事になった。
わーい!!
これはもう 私は体験しなければいけない運命なんだわ!と思った。
ところで Sprayってどこにあるの?
この仕事が舞い込んで来るまで、聞いた事もなかった町の名前。Portlandから東南に約3.5時間ほど走った所にあるらしい。わーい、ちょっとしたロードトリップではないか。楽しみー。
私達も漏れなく前日から入り、キャンプをして備える事にした。
ニュースではひっきりなしに、大渋滞になる事や水が店から無くなる事を警告していたので、しっかり買い出しをし、ガソリンも満タンにして出かけた。(結局ふたを開けると、脅かされたような渋滞も水切れもいっさいなかったのだけど、、。特にSpray行きは。)
Oregonの東部に向けて走れば走るほどだんだん緑や木々が無くなり、乾燥地帯に入っていく。この裸の地形がまた雄大で、まるで地球の始まりの時代にタイムスリップしたような錯覚を起こす。この延々に広がる裸の丘に、真っ白で巨大な風力発電のタワーが延々と立ち並ぶ光景も圧巻。ここにPhilip Glassの曲を流すと演出効果大となる。
Sprayの街は 人口約150人のちいちゃーい町だった。ストア一件、古ーいガソリンスタンド一件、モーテル一件、そして小学校から高校までの生徒全員57人の学校が一件あるのみ。こんなところに人が住んでいるなんて!
学校のフットボールグランドをキャンプ場に公開していた。私達は4時頃着いたのだけど、すでにテントを張っているEclipse viewer達が数組いた。
Crew達は撮影の打ち合わせをし、テントを張り、ご飯を作って、ビールを飲みながら明日の皆既日食にスタンバる。
Crewの中でクイズが出た。完全な皆既日食になった時、何度気温が下がるか、と。皆がそれぞれ予測の数字を挙げていたが、全くNo ideaの私は「No change!」と言い切り、大爆笑を買った。「It is not like the sun will disappear physically! It will be still there even though it is covered by the moon!」というのが私のArgument。
「We'll see tomorrow。」
翌日8月21日、日食が午前9時過ぎに始まった。
専用メガネをかけて 空を見上げる。
それまで全く見えなかった月が、太陽に差し掛かると黒い影となって現れた。
約1時間ほどかけ、ゆっくりと じわじわと 黒い月が太陽にかぶさって行く。
不思議な光景だあ。写真や映像で見た事あるけど、実際自分がこうやって観ているなんて、ほんと不思議だあー。
そのうち太陽が三日月状態になる。
すると、少し肌寒くなって来た事に気が付く。
炎天下の中、さっきまで あんなに暑苦しかったのに、ちょっと何か羽織りたくなって来た。本当に気温がガクンと下がってきた。うわーっ、スゴイ!
そして、逆三日月が薄くなるに連れて、辺りが暗くなって来た。まるで夜明けのような、薄いネイビーブルーの色が辺りをつつみ始めた。おおおーーーっ!
そして10時20分頃に ついに、完全なる日食となった。
真っ黒なまん丸の月の周りを太陽のコロナが、光の輪のようにギラギラ輝いているのが観える。その状態は、なんとも奇妙で、不思議な光景だった。
周りの人々の歓喜が湧き上がる。
胸がへんな興奮状態でドキドキする。
本当に不思議。自分がこの場所で実際にWitnessしているなんて。
Once in a life time opportunity。
まさに、一生に一度の出来事で、これをWitnessできた私は本当にラッキーだと思う。
約2分弱のTotalityの後、黒い月がまた徐々に動き出し、後ろの太陽が少しづつ姿を現し始めた。そうすると、辺りは再び明るくなり、気温も一気に上昇し始めた。
なんという事だ。太陽の存在、太陽がどれだけの影響力を持ち、私達に恩恵を与えてくれているか。それを肌で、身を持って感じた。
凄すぎる。
とにかく、Universeが私にこの機会を与えてくれた事、感謝します!
日食の始まり。陰で動きを映し出している。
天体望遠鏡に映る 進みゆく日食のイメージ。
普通のカメラとレンズでは Totalityを上手く綺麗に撮影する事はできなかったけど、拡大すると ちゃんと太陽の輪が撮れている事がわかる。
もっといい機材だと、あの太陽の輪が この写真みたいに膨張してなくて、もっと薄い輪なんだけどね。ま、一応撮れていたということで 良しとする。
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