メキシコのような土地にいる。
石作りの 天井の低い部屋に居る。
大きな窓が 中庭に向いてある。
中庭は海岸でよく見るような ごつごつとした石が広がっている。
ひとつ大きな石が立っていて その陰から ライフルなどの銃で身を固めた 10人から20人の男たちが現れ、猛然とこちらに向かってくる。
それを察知した 部屋の中にいた男達も 素早くライフルを掴む。
そうかと思う間もなく、激しい銃弾の飛び交う戦闘が 部屋の内側と外側で勃発する。
自動ライフルの連射音や 弾のはじける大きな音が 弾を受けて倒れて行く男たちの悲鳴と混じり 部屋中に響く。
私は囚われの身で 横倒しに倒れたテーブルの陰に耳をふさいで うずくまっている。
いつか 自分も殺される、という恐怖でからだが震えてならない。
どんどん人が倒れていくごとに 銃の響きや 悲鳴が少なくなり 静かになっていく。
部屋の中にいた男達の リーダー格の男が 最後まで 生き残って、敵に向かって 乱雑なほどに 連射している。
このリーダー格の男が 恐ろしくてたまらない。
この男に最後には殺される。
時が経って、部屋の中に 静けさが戻る。
終結したようだ。
このリーダー格の男が 私に向かって歩いてくる。
もうだめだ 次は私だ。
その男が私に声をかけた瞬間 一瞬にして その男は 自分の夫であることに気が付く。
そのとたんに 恐怖心がさーっと消え、安心した気持ちで 立ち上がった。
部屋を見渡すと 自分の夫以外の男たちは 皆銃弾を受けて 床に倒れていた。
よく見ると 頭や手や腕が吹き飛ばされている。
生々しく血だらけになって その身がむき出しになっている。
映画のグロテスクなシーンを一切みることができない私が その 情景を見渡している。
吹き飛ばされた頭や、手や腕のピースが どこにもないことに気が付いて 不思議に思う。
ボロボロになった部屋の壊れた窓際に 岩が二つ並んでいる。
一つの岩には 赤い血が、もう一つの岩には 青い血が ペンキをこぼしたかのように ドロリと流れ落ちている。
窓から外を窺ってみる。
そのごつごつした石の裏庭には 攻撃してきた相手方の 一人の死体も横たわっていない。
不思議に重いながら窓越しに外を眺めている。
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