ついに 辞表を出した。
5月12日。Xデー。決戦の日。
入社した時から抱えていた「ここは私の居る場所ではない」「私が私でいられない」「何かが違う」という悶々とした思いが、ここ3年ぐらいで 火山噴火前の振動のように 明らかな物となって身体に訴えかけるようになってきていた。2月にTomoさんのReadingのセッションを受けてから、それが最後の決断へとダッシュをかける事になった。
お金に対するFearは 人間が創り上げた観念で、本当は存在しない。
人間は元々幸せで、楽しく生きる為に生まれて来るのだから。
好きな事をやればいい。好きな事、楽しいと思う事をやっていれば、それが新しい可能性、Opportunityに繋がって行き、自然とお金も入って来る。だから、心配はいらない。
やりたい事を一つに絞ろうとしなくていい。好きな事、興味のあることをどんどんやっていけばいい。逆に言うと 好きな事、やりた事だけしかやらなくていい。
心配はいらない。
守られている。
Tomoさんに言われたこの言葉が 心の中で何度も何度もリピートされる。
胃の辺りがキューっと締め付けられる。
いつ辞めるか。
いつ会社に言うか。
アタシは本当にそれができるのか。
ここまで働いたのだから せめて5月のボーナスまでは待ちたい。2週間ではなく1か月ぐらいのNoticeを出すようにしたいから 辞めるのは6月か。6月の終わりぐらいになると今抱えている仕事も一応ひと段落つくから、そのタイミングか。
Plannerの6月23日に「会社最後の日」と書いた。
翌日、誕生日と退社祝いをするか。
その日に味わう解放感を想像すると また胃がキューとした。
まるで自分の結婚式を待ち構えるかのうような、嬉しいキューとナーバスなキューが一緒に胃で起こっているような感覚。この身体の現象が3月から起こり始め、会社を辞める事を考える度に、「キュー」。
これがずーっと続いた。
これはある種のストレスで、そのせいか、(そのせいだと思いこんでいるが)Choppyなウサギのウンコみたいなうんちが出るようになった。あんなにバナナ1本スルリと出るうんちが自慢だったのに。
4月に入り、昇給があり、タイトルが変わった。(でも仕事の内容は変わらず。)
Mr. Hubbyは「テストだよ」と言う。
私が会社を辞めようかと考えている事を知っている人達は、心配そうに私を見る。
心配そうな、あんたそれでいいの的な表情を私に向ける。
反対に、「Yeah! Way to go!」とハイファイブを求めて来る人達もいる。
私は我慢してきた。
9年続いたのは 我慢してきたから。
私の驚異的な忍耐力の他何者でない。
母親の声が聞こえる「我慢しなさい」。
母親の教育の一つだった。
私ほど我慢強い人は他にはいないと豪語できる。
それは日本のカルチャーでは美徳であり、真面目で 正しい者の生き方であるように見られる。人の為であったり、社会の為であったり。
大好きなスポーツの為に、目的を達成するために、日々の厳しいトレーニングにも耐える、というよう我慢あればいいのだけれど、自分を押し殺す我慢、は負のエネルギーだ、と今の’私は思う。
私はお金の為に我慢してきた。
保険や安定した職業を持っているというステータスの為に我慢してきた。
アパート代、学生ローン、生活費、車のローンの支払いの為に我慢してきた。
生活の為に。
それは 一見当たり前の事で、誰もがやっている事。
でももしその仕事が、やりたい仕事で、自分の好きな仕事で、情熱をもって楽しくできる仕事だったら、「お金の為に我慢する」という精神状態になるだろうか。
昔日本でアパレルの営業をやっていた自分を思い出した。
楽しくてしょうがなかった。大好きだった。
友達にもよく言ってた。「こんなに楽しい仕事はない」って。
給料は断然低かったけど、障害にはならなかった。
私はそんな自分にまたなりたい。
「仕事が楽しくてしょうがない」と、公言できる場所に また自分の身を置きたい、と思った。
自分が自分でいられて、自分らしさを売りとして、仕事ができる場所。
ボーナスの日が報告された。
5月12日。
この日がX-デーとなるのか。
その後、会社の前年度の売り上げ高が記録を上回ったので、臨時に追加ボーナスが出るというアナウンスがあった。
「なんじゃこりゃ」Is my God still testing.me??
新年度になって、会社の仕組みが新たに構築され、新しい規定ができ、新しいアサイメントが出て、また新たなファイリングやデータ入力のステップが導入され、それらの説明のミーティングが 何度かあった。
その度に、組織にいる事を再確認させられた。上から支持が降りて来て、それを告げられて、それに従う。Creativityなど無い。
私は今まで充分頑張ってきた。と自分に言いたい。
充分学んだ。経験もした。
商社で働くってどうなんだろう。貿易の仕事ってどんな感じなんだろう。
そんな興味や未知への憧れも 実際体験させてもらった。I've got it now。
この経験は、いつか武器になるとは思う。
でもここに居続ける事は、考えられない。
4月の後半から あの胃がキューっとなる感じが大きくなって来た。胃から熱いマグマがあばら骨の間を盛り上がっては下がり、盛り上がっては下がりしているような感覚が繰り返される。
もうなんとなく 5月の12日かな、と心の中で固まりつつあった。
ボーナスの日に、もらったその日に退職願い出すなんて、ちゃっかりしてると思われるかしら。日本人らしからぬ? いや、アタシはもうアメリカが長いので、「アメリカナイズされているやっちゃ」と片づけて下さい。
トシさんと会って「ご先祖様に守られてるよ」て私の手のひら見て言われた時、ああ、そうだよ。アタシは守られているんだよ、って思えた。
今考えたら、高尚なお坊さん(Tomoさんに そう言われたらしいトシさん)から 直々にそうやって言われたって、すごくない?なんて思ったりして。
11日の夕方、オフィスの窓から外を見ると、Willamette Riverに虹がかかっていた。大きなパーフェクトな虹だった。端から端まで綺麗に見えた。
端から端まで綺麗にまたがる虹を見ると ラッキーなのだと誰かに言われた。
サインか?
家に帰った後、今月の蟹座の運勢、なんていうのをネットでサーチしてみた。なんか もうひと押ししてくれるものが 欲しいかの如く。
そうすると、蟹座の星の動きや それに関わる周りの星の動きなどを交じえて、4、5ページに渡り とても詳しく5月の運勢を説明しているサイトを見つけた。無料なのにスゴイな、なんて思って読んでいると。具体的に5月12日という日が出て来た。5月12日はプレゼンや、自分を表現するのに最適な日で、うまく自分という人間や自分が説明している事を受け入れられる日、とあるではないか。
もう完全にサインだわ。
これを逃したら、「いい期」を逃す事になる。
そう解釈した私は、その場でRegistration Letterを作成し始めた。
日本の商社とはいえ、アメリカにあるわけで、辞表なんて紙に書いて提出したりするのかしら。調べてみるとちゃんと色々なサンプルレターが出て来た。どのサンプルも似たようなフレーズを入れていて、退職日をきちんと記している。
私の勤務最後の日は6月23日です、とタイプした。
この時点でも、まだわずか、本当に決行するのかUnsureな気持ちはあった。
あまりにこればっかり考え過ぎて、頭がフワフワしているような、思い込みという 幻想の世界に入ってしまったような、落ち着いているようでいながら 衝動に駆られているような、そんな感覚だった。
Registration Letterができた。読み返す。完璧。
プリントアウトして、署名を入れた。
封筒に入れて、バッグに落とす。
明日、私は本当にやれるのか。
本当に「辞めます」と言えるのか。
次の日の朝、オフィスのデスクに座った私は、マネージャーに、5-10分のお時間下さい、というメールを作成した。
その短い文章を何度も読み直し、自分に確認する。
「本当にいいのね。」
「本当にやるのね。」
一旦そのページを閉じて 他の仕事をしたりメールを打ったりして、しばらく意味不明な時間稼ぎをしていたが、それらの仕事が一旦クリアになった時、またそのドラフトを開けてみた。そしてもう一度読み返す。「送信」にカーソルを当てる。クリック。
辞表を提出して(For real!) 1週間が過ぎた。
日毎に、これで良かったんだと、確信する気持ちが大きくなっている。(Phew!)
Good for you。
It is a healthy choice。
It is very healthy for you and your soul。
I think you made a wise decision。
意外にもこういう反応の言葉を数人の人から受けた。これらの言葉も、私の決断のValidationであると受け止めてるようにしている。
同じ会社の男性に会議室に呼び出された。
So I heard you are leaving the company.
I think you are brave.
I should've done this long time ago. Probably 15 years ago.
But I missed it and now I can't.
So I think your decision is very healthy.
そのメッセージ、有難かった。
学生ローンも、車のローンも、値上がったアパート代も、消える事も無く存在している。
今では医療費も追加されている現状。
でも、大丈夫だと思えてならない。
アメリカに来てから今まで、Financialのサポートもなく、自分一人でここまで生きて来たのだから、これからだって何とかなる、と思っている。
とにかく、あのキューが無くなった。
ウンチも快調に復活している。
そして、このタイミングで この本を手にした。
「モバイルボヘミアン」
この本が、さらに私の決断は正しかったと立証してくれているのである!(と確信している。)
つづきは 次のブログで。
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