昔「アンアン」というファッション雑誌があって、林真理子がコラムを書いていた。
おしゃれで、ウイットに富んでいて、自虐的で、コミカルで スマートなコラムだった。
彼女のコラムは雑誌の最後のページに掲載されており、「アンアンを後ろから開けさせる女」的な異名を取っていた。
Joel Steinは私にとって「Timeを後ろから開けさせる男」だった。
3、4年ほど前に Timeを購読するようになって、このJoel Steinというコラムニストの存在を知った。彼のコラムはシニカルなユーモアで埋め尽くされていた。シニカルなんだけど、イマジネーションを掻き立て 読みながら大声で笑ってしまう面白さがあった。でも彼のスマートである一面は見逃さないではいられない。読者を大声で笑わせながらも、時の社会問題をきっちり指摘している。とんでもない角度から時代を評論しているそのCleverな文章の創り方に 毎回感心し、彼の、人んちのドアのベルを鳴らしては 素早く逃げて行く悪ガキ的なスタイルに すっかり惚れてしまっていた。
私の中で 太宰治、林真理子、Candace Bushnellに続く 個性大のWriterだと言える。
この4人の共通点は、今までなかった道を切り出して 一人でひょうひょうと歩いている、というところ。
そんな彼が11月27日号を最後に19年務めたTIMEを去る。
彼のコラム「The Awesome Column」の最後のタイトルは「Hello, I must be going」。
これが最後だと知らなかった私は このタイトルをさらりと流し コラムを読み始めた。
2、3節読んだころで「え?」と思い始めた。これ、最後?!
とっさにタイトルを読み返した。「Hello, I must be going」。
おー、、、! なんてCleverなの彼は! そのタイトルのイキさに またヤラレタ私。
彼の最後のコラムは また大声で笑ってしまうユーモアをちゃんと入れながらも、どこか寂しかった。私が寂しくなってしまったから そういう風に受け止めてしまったのかもしれないけど。なんか中毒になっているのにもうヤクの入手ができなくなった人のような不安を感じてしまった。
そこでAmazonでサーチしてみた。なんか本を出版していないかと。
一冊あった。
「Man Made: A Stupid Quest for Masculinity」
彼らしい、、、。
早速 注文しちゃった。彼のスタイルで自分の心を満たしてさよなとしたかった。
でも彼の最後のコラムの挿絵を見て安心した。
彼はハッピーなんだと。
万遍の笑顔の男性が茶色いドアを大きく開き、ニコニコする太陽と明るい虹がまたぐ草原に大股で歩き出している絵。
新しいステージへの出発なんだね。
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